前回のオンラインプログラムの話から少し時間が経ってしまいましたが、第2回のセッションについても紹介していきたいと思います。
2回目はSocial communicationについてのお話でした。
これはうちの子供も苦手としている分野です。
まずは例として、もし道の反対側に昔の知り合いを見つけた場合どうするか、という質問がありました。手を振ったり、名前を呼んだりして近づくと思いますが、その後、連絡先の交換をするかどうか、交換できる雰囲気だったら交換しますし、そんな感じじゃないなと感じたらやめると思います。
このそんな感じじゃないという印象、例えばなんだか上の空だったり、表情から乗り気ではない雰囲気を感じ取ることが私たちはできますが、自閉症の人はこの雰囲気や様子を感じ取ることが難しいとのことでした。
私も子供の行動を思い返してみて、思い当たる点が結構あります。
コミュニケーションには色々あり、例えば声のトーン、アイコンタクト、顔の表情以外にも脳の中で無意識に記憶や感情、解釈、共感など多くの分野を使いながら行っているそうです。
また、通常コミュニケーションは何か欲しい時、誰かから注目して欲しい時、そして社交的な理由(誰かについて知りたいなど)の3つの主な理由を全て使いながら行い、それは自然に身に着くそうです。しかし自閉症の子供はこの発達に違いがあったり遅れが出る傾向があるとのことでした。
コミュニケーションは一方的ではなく、双方から作られるなどというルールを自然に理解することが難しく、そのことが他者との関わりを難しくしてるそうです。
毎回セッションの中で当事者のインタビューや専門家の話などのビデオも流れるのですが、自閉症の子供たちが話しているビデオがあり、その内容も印象的でした。
例えば、会話をしている中で気まずい雰囲気になったら、まずは自分のせいだと思い、また相手もそう感じていることが伝わり、そう感じることでまた次のコミュニケーションを行うことが怖くなってしまう、人とのコミュニケーションは自分たちにとって練習、練習、また練習するしかない、と話していました。
それはとてもしんどいですし、自閉症ではない人でも人と話すことが怖くなったり、苦手と思うことが多くあると思います。それがいつもだとすると、相当な努力やストレスを抱えながら人と関わっているのだなと考えさせられます。
残念ながら自然に身に着くものではないので、結局は練習していくしかないのですが、その練習法もいくつか紹介されました。
自閉症の人は視覚からの情報を捉えるのは比較的得意です。
会話は次から次へと進んでいき、理解をする前に内容が消えてしまう為、自閉症の子にとって難しく感じるそうです。
その点、視覚情報はなくなりませんので、長く覚えておくことができるそうです。
例えば、あるシチュエーションについて絵や写真、文字を交えたストーリーを作り、それを教えるという方法です。
友達が遊んでいるところに加わりたいと思った時に、どのように言うのか、Yesと言われた場合、Noと言われた場合と話を作り、その時のふるまい方、会話などを教えることができます。
その他には吹き出しを使って漫画のようなストーリーを作って教えるという方法もあります。
自閉症の子には、自分が興味のあることを相手の様子に気づかずず~っと話し続ける、という傾向もあります。
漫画の中で、会話の内容(そして心の中で思っていること)を表現し、片側が一方的に話し続けているともう一方は心の中で何を思っているのかなどを書き出し説明するという方法です。
自閉症の子は決められたルールに従うのも得意な傾向もありますので、その傾向も生かしながら、こういう場合はこのようにするとルールのように作成し、その子が不得意な場面を一つ一つ教えていくと良いとのことでした。
またゲームをしながら”私が使ったので次はあなたの番ですよ”と伝えながら順番を教えたり、ロールプレイで実際に起こりうるシチュエーション、例えば誰かのレゴブロックを壊してしまった時はどう言うかなど練習するという方法もあるそうです。
他には初めて何かをする場合、例えば初めて歯医者さんに行く時に、前もって写真や映像を見せながら手順を教えるという方法もありました。
実際に私も子供が誕生日パーティに招待された際に、パーティが行われる場所に事前に行き、その場所の雰囲気やパーティではどのような流れで進んでいくか、ハッピーバースデーの歌を歌ったり、ろうそくの火は誕生日の子が消すんだよ、など説明をしてから行きました。
そして全てのことに共通しますが、伝える時はシンプル、短く、伝えたいことをその言葉通りに伝え、皮肉や遠回しな言い方は伝わらないので、使わないようにとのことでした。
学校での子供の様子を詳細に知ることは出来ないので、子供が同年代の子とどのようにコミュニケーションを取り、どの部分を難しく感じているかまだ具体的に知ることが出来ていないのですが、本を読みながらシチュエーションを教えていくのも効果的のようですので、苦手なのかなと感じた部分から教えていきたいと思います。
これは長い道のりになりそうですね。
3回目は感覚過敏についてですので、そちらもまた紹介します。